学術情報

低出力超音波パルスは骨芽細胞様細胞の分化を促進する

竹内一夫1)、城所 貴1)、服部正巳1)、石川温子1)、長谷川雄一1)、西村叔枝1)、林 達秀2)、河合達志2)、荻原信夫3)、太田厚美3)

1) 愛知学院大学歯学部 歯科補綴学第二講座
2) 愛知学院大学歯学部 歯科理工学講座
3) 伊藤超短波株式会社

骨髄由来細胞の培養

骨髄由来細胞の培養

8週齢・雄・SDラットの大腿骨から骨髄を採取し、
15%ウシ胎児血清、
10-8 M デキサメタゾン、
10 mM β-グリセロ燐酸塩、
50 μg/ml L-アスコルビン酸-2-リン酸を含んだα-MEM中で付着細胞を培養した。この培養液は間葉系幹細胞を骨芽細胞に分化させる培養液である。なお、 培養は37℃5%CO2中で行い、培養液は3日に1回交換した。

そしてLIPUSを培養3日目から1日あたり15分間照射した群をLIPUS処理群とした。また、コントロール群としてLIPUSを照射しない群を設定した。

細胞増殖(7日)

細胞増殖(7日)

培養開始7日目の細胞増殖の比較である。
Nuclear Fast Redにより染色した後、画像処理により定量化した。
分散分析の結果、LIPUS処理群とコントロール群の間に1%の危険率で有意差を認めた。下段に画像を示すように、コントロール群と比較してLIPUS処理群では細胞数が少なく、LIPUS照射により細胞増殖が抑制されたことが分かる。

RT-PCR(オステオカルシン)

RT-PCR(オステオカルシン)

LIPUS処理群では7日と14日目に、また、コントロール群では2日、7日、14日目に全RNAを抽出し、RT-PCR 法により骨基質タンパクの遺伝子発現量を測定した。
グラフはGAPDHを基準として求めたオステオカルシンのPCR産物の濃度である。

2元配置分散分析の結果、培養日数の経過と共に遺伝子発現は1%の危険率で有意に増加し、また、コントロール群と比較してLIPUS処理群において1%の危険率で有意に遺伝子発現量が増加した。 LIPUS照射により骨芽細胞様細胞の分化が促進したと解釈できる。

RT-PCR(オステオポンチン)

RT-PCR(オステオポンチン)

同様に、オステオポンチンの遺伝子発現様相である。
2元配置分散分析の結果、培養日数の経過と共に遺伝子発現は1%の危険率で有意に増加し、また、コントロール群と比較してLIPUS処理群において1%の危険率で有意に遺伝子発現量が増加した。同様に、LIPUS照射により骨芽細胞様細胞の分化が促進したと解釈できる。

石灰化(von Kossa 染色)

石灰化(von Kossa 染色)

培養14日目と21日目の石灰化の様相を示す。
細胞は10%ホルマリンを含有したPBSで固定した。
その後、5%硝酸銀水溶液1 mlを加えて紫外線照射を15分間行い発色させた。

反応停止は5%チオ硫酸ナトリウム水溶液で行い、Nuclear Fast Redにより対比染色を行った。そして、画像処理により定量化し、培養日数とLIPUS処理の有無の2要因による分散分析を行った。その結果、培養日数の経過と共に、また、LIPUS処理群とコントロール群の間にそれぞれ1%の危険率で有意差を認めた。下段に画像を示す。黒く染まったところが石灰化しているところである。一番右の21日目のLIPUSでは最も黒く石灰化が促進したと言える。

まとめ

骨髄由来細胞を培養し、LIPUSを照射した結果、
・細胞増殖は抑制された。
・オステオカルシン、オステオポンチンの遺伝子発現は促進した。
・石灰化は促進した。

LIPUSは骨芽細胞様細胞の分化を促進する。

骨髄由来細胞にLIPUSを照射した結果、
・細胞増殖は抑制された。
・また、オステオカルシン、オステオポンチンの遺伝子発現は促進した。
・石灰化は促進した。
オステオカルシンとオステオポンチンは、骨芽細胞の分化マーカーである。
したがって、LIPUSは骨髄由来の骨髄由来細胞中の骨芽細胞様細胞の分化を促進したと解釈できる。
以上の現象は、LIPUSが骨形成を促進するメカニズムを説明すると考えられる。

PAGE TOP