User Report 019

2025.09.02

トータルヘルスケアをサポートする物理療法機器の活用法

おおえのき接⾻院

おおえのき接⾻院

「医療・介護・健康増進のすべてをワンストップで⾏うトータルヘルスケア」を掲げる三重県鈴⿅市のおおえのき接⾻院。外傷治療のほか、訪問鍼灸、デイサービス、介護入所施設、障がい福祉施設、パーソナルトレーニング、エステ、個別指導学習塾や子供成⻑トレーニングなど、大人から子供まで“⼈⽣をトータルで診させていただく”という理念のもと取り組まれています。今回は、大榎良則院⻑に施設⽴ち上げの経緯や運営にかける思い、外傷治療での物理療法機器の使い⽅など幅広く伺いました。

まずは⼤榎院⻑のご来歴と、現在取り組まれているトータルヘルスケアにたどり着いた経緯を教えてください。

柔道整復師の資格を取得後1994年に四⽇市市の富⽥浜病院に⼊職、リハビリ科で働く傍らケアマネージャーの資格を取得し、居宅介護⽀援事業の⽴ち上げに携わりました。病院勤務10年と脊椎専門院3年勤務後、2005年に鈴⿅市でデイサービス併設接⾻院を県内で初めて開業しました。トータルヘルスケアの発想の原点は、病院に勤務していた時のある患者様とのやりとりでした。その⽅は退院が決まっても、なぜか嬉しそうではありませんでした。理由を聞くと、「入院中は毎日行っていたリハビリが週1回に減ってしまう。さらに、自分で車を運転できず、家族もいないので送迎してもらえないため、タクシー代が負担になる。」との事でした。当時すでにケアマネージャーの資格を持っていたので、介護保険を利用したデイサービスの送迎や住宅改修の提案を行いました。この時に私は「治療して終わり」ではなく、患者様の事情や背景を知らないといけないと痛感し、これからは医療と介護を繋げた一貫性のあるサービスが必要になると感じたのです。

⼤榎良則 院長

デイサービス併設接骨院から始め、その後に訪問介護や若年層の健康増進などサービス領域を広げたのはどんな思いからでしょうか。

開業して10年近くが経った頃、長年通い続けている患者様の中に⾞の乗り降りや⼊浴ができない⽅が増えてきました。それまで⾏っていた半⽇デイサービスでは賄いきれなくなり、1日デイサービスをつくることになりました。それからさらに年⽉が過ぎ、自宅から出られなくなる患者様が増えてきました。そうなると今度は訪問鍼灸を始め、一人暮らしで訪問もままならない⽅には看取り介護ができる入所施設をつくりました。一方で、お年寄りで体が弱い⼈は若い頃に運動習慣がなかった⼈が多く、若いうちから健康を増進していく必要性も感じていました。そこで身体能力を伸ばせる年代からサポートしていこうと、子供向けのトレーニングを始めました。このように患者様に必要なものを軸にサービス領域を増やしたら、開業前からイメージしていたトータルヘルスケアに近づいてきました。

また施設を大きくしていく中で、ご苦労されたことはありますか?

私にとって最も⼤事なのは治療家として⼈を⽀援することです。チェーン展開などは、どうしても経営がメインになるのでやろうとは思いません。それよりもひとつの場所に薬剤師、看護師、理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、介護福祉⼠、エステティシャンなどがいて、それぞれが連携した「地域になくてはならない院」になることが重要だと思っています。そのコンセプトを基に必ず患者様のニーズがあるところへサービスを増やしていくので、大きな苦労や挫折をしたことはありません。最初は⼩さな院から始めて、次のニーズが⾼まったらそのサービスや施設をつくる。着実にニーズがあるところで事業を拡⼤しています。

デイサービスの中でどのような取り組みをされているか教えてください。

「100歳まで⾃分の⾜で歩こう」というテーマで、柔道整復師がしっかり歩けるリハビリを提供しています。万歩計と連動したアプリを使用していて、例えば1日3000歩歩いたら架空のお金が3000ウォークもらえます。そのお金でマッサージや個別のトレーニング、スタッフの買い物同伴などの権利を買うことができるようにしています。普段のリハビリにゲーム性を持たせることで、みなさんが積極的に取り組めるようになりました。これに限らず設備を導⼊して終わりではなく、利用が楽しくなるアイデアを⼊れていく必要があると思っています。

施術ルーム

続いて、外傷治療における貴院の強みをお聞かせください。

外傷に関して対応できる幅は⽇本⼀だと⾃負しています。骨折疑いの場合、エコー検査で評価し整復処置を行います。全ての柔道整復師がギプスを巻くことができ、強固な医師連携も行っています。さらにそういった基本的な処置だけでなく、患者様の置かれた状況に応じて対応できるのが当院の強みです。夜遅くに骨折で来院した患者様で、自宅で寝たきりの旦那様と脳梗塞のお子様を介護しているという⽅がいました。ギプス固定で段差歩行ができず、ご自宅に介助を行える方もいなかったため、その日は当介護施設で一泊し翌日に介護送迎車で指定病院へ搬送しました。幸い保存的治療になったので、スタッフがご⾃宅に訪問し保存療法の経過を診ながら、骨折が治癒するまでの間リハビリをサポートしました。その後は当院のリハビリ専門デイサービスで介護をされながら暮らしています。このように外傷治療だけでなく、その⽅の⽣活に合わせた対応ができるのもトータルヘルスケアを掲げる私たちならではだと思います。

外傷治療を⾏う上で、これは⽋かせないという物理療法機器はありますか?

超音波エコーとハイボルテージモード搭載の電気刺激装置は、絶対に必要ですね。あとは必要に応じて拡散型圧力波治療器や超音波骨折治療器があるといいです。治療の根拠を明確にすることで見逃しなどのリスクを防ぐだけでなく、医師との連携も図れる超音波エコーは、これから接骨院を開業される方も導入しておいた方がいいと思います。先日、院外活動でご高齢者の膝を超音波エコーで評価しましたが、骨の変形具合を画像で観察して必要であれば医師へ紹介しますし、物理療法機器が有効な場合は当院にあるから来てくださいとお話しするなど、院を認知してもらうための活動にも活用しています。

電気刺激装置

ハイボルテージモードはどのように使われていますか?

初診時はほぼ全員に使っています。患者様は慰安のためではなく、深刻な痛みが原因で当院に来られます。まずはハイボルテージで除痛をして、次の治療に移っていきます。電気刺激装置以外にも、筋膜吸引、拡散型圧力波、パワープレートなどを活用しています。物理療法機器は、どのスタッフが使っても同様の効果が得られる再現性の⾼さがいいですね。当院でも電極を当てる⾓度などプロトコルを⽤意して統⼀を図っています。複数の治療を同時に⾏えるのも便利ですよね。

物理療法機器を使⽤された患者様の感想はいかがですか?

ハイボルテージモード搭載の電気刺激装置は、しっかりと体感があって、血流が良くなるので治療の実感があるとおっしゃいます。治療が終わった後にすぐに楽になったと感じる患者様が多いですね。超⾳波⾻折治療器は、施術時の刺激感なく、骨折の癒合期間を早めてくれるので助かっています。骨だけでなく、軟骨や腱、靭帯に対しても有⽤で、様々なスポーツ外傷の急性期にも効果的です。ある程度良くなってきたら、加圧トレーニングやストレッチ、運動療法で改善を図るので、そのための⼿助けになる物理療法機器はいつも重宝しています。

物理療法機器を使う利点はなんですか?

数値化と可視化ができることです。患者様の痛みを基準にすると、それに振り回されてしまいます。例えば同じラーメン屋さんでも⼈によって主観で美味しい、不味いと意⾒が分かれるじゃないですか。痛みもそれと⼀緒で、同じ治療をしても痛がりの⼈はまだ痛みが残っていると⾔うし、気が弱い⼈なら多少痛くても⼤丈夫ですと⾔ってしまう。症状に合わせた物理療法機器を使い、その後の組織や筋力の回復具合をエコー画像や体成分組織計測で客観的な画像、数値にして評価します。そうすることによって患者様も連携する医師も納得してくれます。もしその時痛くても、良くなれば次第に痛みは取れていくので。画像や数値で示し、なぜ必要かを説明して同意を得てから安全に再現性のある物理療法を施行する。患者様一人ひとりに合わせた物理療法を行い、施術後も画像や数値でどれほど改善したか説明して、今後の治療計画を一緒にたてていく。そうすると患者様も「この院はちゃんと根拠のある治療をしてくれて、その後の怪我をしにくい体づくりも教えてくれる」と信頼感を⾼めてくれます。

物理療法機器を導⼊して何か治療に変化はありましたか?

拡散型圧⼒波治療器を導⼊したことによって、足専⾨や⼿専⾨の治療メニューができました。足底腱膜炎などは、この機器がないと対応できません。手技でできることは限られているので、今まで治癒が困難だった慢性化した組織の修復破壊を特殊な物理療法機器でやってくれるというのは歴史的に大きな一歩です。この他の機器も治療のアイデアと使い方によっては患者様への対応の幅を広げられると思います。

拡散型圧⼒波治療器

最後に、このインタビューをお読みの先⽣やこれから医療業界に⾶び込む若い⽅にメッセージをお願いします。

医療の世界にはさまざまな勉強のスタイルがありますが、根幹にある解剖や⽣理、外傷疾患などをしっかり学んだ上で、幅を広げていってほしいと思います。ぶれない芯をもって学ばないと、次々と出てくる新しい治療法に⽬移りして姿勢がぶれてしまいます。これから医療の世界に⾶び込んで将来の独⽴を考えている⽅は、学校卒業後の最初の⼀歩を⼤事にしてください。そして医療業界で発言されている情報にアンテナを張って、いろいろな先⽣の話に⽿を傾けてみてください。伊藤超短波さんのセミナーも⼤いに役⽴つと思います。ただモノを売るだけではなく、確かな実⼒の先⽣を招いて知識や技術の啓蒙も⾏っています。ぜひ参考にしてみてください。

⼤榎良則 院長とスタッフ
⼤榎良則 院長

PROFILE

⼤榎 良則 院長

柔道整復師・ケアマネージャー
1974年鈴⿅市⽣まれ。国家資格免許取得後、1994年に特定医療法⼈ 富⽥浜病院勤務リハビリ科⼊職。1999年ケアマネージャー資格を取得後、居宅介護⽀援事業の⽴ち上げに参加。2003年の退職後に神⼾市でパーマ⼤学卒 ⽶国認定カイロドクターの下で世界基準の⼿技療法を修得。2005年、鈴⿅市にデイサービス併設接⾻院を開業。その後、鍼灸院、自費治療院、介護⼊所施設、パーソナルスタジオ、個別学習塾、障がい福祉施設などを次々と開設。一般社団法⼈ ⽇本柔整外傷協会の設⽴や⼈体解剖実習を主催するなど、業界の技術向上にも寄与している。またサッカークラブ・鈴⿅ポイントゲッターズアカデミーの公式トレーナー契約や子供成⻑トレーニング導⼊など、子供の⼼⾝の成⻑にも取り組んでいる。

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